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貴志祐介「新世界より(上・中・下)」(講談社文庫)
評価:
コメント:貴志祐介の作品として「大好き」の部類に入り、この重厚な世界観、物語の展開、SFとミステリとホラー好きに満足感を与えてくれた良質のエンターテイメント。楽しかった!

 豊かな自然の中にある神栖66町という集落。夕方になると「家路」が流れ、外で遊んでいた子供たちは帰宅の途につく。周囲を八丁標(はっちょうじめ)と呼ばれる注連縄で囲まれた郷に暮らす人々は、「神の力」を持ち、平和に暮らしていた。外は化けネズミ、風船犬、猫だまし、ミノシロ、……そして悪鬼と業鬼が居ると言われ、子供たちはその結界に守られて、何事もなく大人になっていくはずだった。

(以下、多少ネタばれも含まれるので、作品を読む前に予備知識なしで読みたい方は読まないでくださいね)

タイトルの「新世界より」を見ると、当然ドヴォルザークの交響曲第9番を思い出すのは私だけじゃないだろう。そのタイトル通りというか、作品中でも象徴的に描かれている夕方のシーン。
子供たちが外で遊んでいて、夏の終わりか初秋の夕暮れ。赤とんぼの群れ。水田。松林。そこに響くドヴォルザークの「新世界より」第2楽章「家路」。

私達の世代なら確実に聞いたことのある「家路」。確か私の小学校では、下校の音楽だった。やはり思い出すのは、初秋の夕暮れ。アナウンスに乗って「家路」が聞こえると、何やら寂しい気持ちになったものだ。

そういう30代の読者の「子供時代」と被さるように、主人公たちの「世界」が描かれていく。

一昔前、もっといえば、私の両親の時代の日本の情景をバックグラウンドに、不思議なしきたりと不気味な生物(ミノシロ)が描かれる。

そこは美しく平和な別世界ではなく、日本の1000年後の未来だった。

面白いのは、生態系。実在する生物と同時に実在しない生物を詳細に書いているものだから、両方実在するかのように錯覚してしまうほどの出来。「天使の囀り」でも発揮したあの生物に対するこだわりが爆発している(笑)。自然界でも目をそむけたくなるほど悪意に満ちた生物は実在しているが、意外に知られていない。それをうまく利用して、「ええ?」と思うほどの生き物を創り出している。それが1000年後の世界にリアリティをもたらしている。

悪鬼や業鬼と呼ばれるモノたちが居ても、おかしくない、そんな気分にさせられる。

もうひとつのキーは、「神の力」と呼ばれる念動力(サイコキネシス)。それを持ち、訓練された人間たちは生態系において最強であり、神である。化けネズミを従え、そして殺す権利を持つのは「神の力」を持つためである。

そんな世界で育ち、疑問を持った主人公たちは、子供らしい好奇心のために夏季キャンプで枠の外へと踏み出してしまう。しかし枠の外へ踏み出した罰として「神の力」を封じられた彼らを待ち受けていたのは、高度な社会性と知性を持ち、人間社会に従わされている化けネズミ達の戦場だった。

バケネズミがすごく良くできていて、ドキドキわくわくさせられてしまう。

貴志祐介の作品は「黒い家」「天使の囀り」あたりは好きなのだが、以前読んだ「クリムゾンの迷宮」「青の炎」あたりでかなりがっかりしていたので、あまり期待せずに読んだのだが、上巻の半分当たりですっかりとりこになり、あっという間に分厚い3冊を読んでしまった。

SFとホラーの割合が非常にバランスよくて、以前の作品よりもこの作品が貴志作品の中で一番のお気に入りになってしまった。生物好きには仕方ないかもしれない(苦笑)。

SFとホラー好きな人には超お勧めだが、一般受けはしない。生物系が苦手な人にも受け入れられない可能性大。

今年読んだ中でランキングするとしたら、現時点で堂々の1位。なかなかこういう骨太な作品に出会うことがないので、出会えてラッキーだとすら思える作品だった。とても面白かった。もう一回読もうと思う。

| 役に立たない本情報&読了記録 | 09:30 | comments(0) | trackbacks(0) |
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